「カリスマ瘦せ姫」の存在を知っていますか?
摂食障害を「個性」として認め合ってみたら……
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!
そのためか、瘦せ姫へのスタンスも厳しいものがあります。いわゆる自撮り写真をSNSに載せると、それだけで中傷のコメントがついたり、2ちゃんねるなどで揶揄(やゆ)されたり。批判する側には、たとえば、ろくに働かずに親のカネで過食嘔吐して、国民の税金に頼って入院したりしているくせに、などという論理も存在するわけですが、大きなお世話というものです。
また、フランスでは最近、モデルの瘦せすぎを規制しようとする条例が議会で可決されました。基準となるBMIを下回るモデルを起用した事務所は、罰金を払うことになるようです。
フランスという「個性」を大事にしてきた印象の国ですら、こうした事態が生じることには正直、驚きを禁じえません。というのも、モデルにとってその細さは個性であり、そこに憧れる人にとっても個性ですから。これは現代的美意識、つまり心を「悪」として規制する行為でもあるのです。
その一方で、ぽっちゃりした体型の魅力を見直していこうという動きも、世界のあちこちで始まっています。それはそれで、悪いことではないでしょう。ただ、その動きが瘦せた体型の魅力を否定するものであってはおかしい気がします。
どっちもあり、さらには「なんでもあり」的な発想こそが、瘦せ姫を楽にするのではないでしょうか。
なぜなら、瘦せ姫のつらさはさまざまです。いくら瘦せても満足できなかったり、太りたくても太れなかったり、太ってしまって瘦せたいのにそれができなかったり、あるいは体型には納得できていても、食事や人間関係に悩みを抱えていたり。つまるところ、そのままの自分を肯定できないところに最大の問題があるわけで、そこが生きづらさの根源でもあります。